top of page

勤続10年介護福祉士 月8万円upか年440万円以上

2019.01|シルバー産業新聞



厚生労働省は12月26日、今年10月に実施する介護報酬改定に関する審議報告を取りまとめた。介護職員の更なる処遇改善のための新加算については、経験・技能を有する介護職員の手厚い配置をより評価できるよう、同一サービス内で加算率を2段階に。事業所での配分方法に関しては「月額8万円増」または「年収440万円以上」の職員を確保することが明記された。

 新加算は、現行の介護職員処遇改善加算を維持しつつ、技能と経験に応じて介護人材の更なる処遇改善を行うことが目的。来年10月の消費税率引上げにあわせて、その税収分から1,000億円、同額の保険料分と合わせて2,000億円が投じられる。

 審議報告では、主に①新加算の取得要件②加算率の設定方法③取得した加算の配分方法――について記載された。

 ①の要件については、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われることを担保する観点から、現行の処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの取得を必須とする。

 加えて、同加算の職場環境等要件については、実効性のある複数の取組みを実施しており、加算取得の取組みをHP掲載等で「見える化」していることも要件とされた。

 ②の加算率に関しては、勤続10年以上の介護福祉士の数に応じて、サービスごとに設定。その上で、介護福祉士の配置が手厚いと考えられる「サービス提供体制強化加算」「特定事業所加算」「日常生活継続支援加算」の取得状況を加味し、同一サービス内で加算率を2段階に分けることが示された。

配分は4:2:1

 ③の配分方法についても具体化。処遇改善を行う対象を(1)「勤続10年以上の介護福祉士」を基本とする経験・技能のある介護職員(2)その他の介護職員(3)その他の職種――の3グループに分け、最も処遇改善が高い(1)の中で、月額8万円の処遇改善、または処遇改善後の賃金が役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)以上となる者を設定・確保することが明記された。

 また、各グループの平均処遇改善額に関しては▽(1)は(2)の2倍以上▽(2)は(3)の2倍以上――とするルールも。ただし「一人ひとりの処遇改善額は柔軟に設定できる」としているため、(1)の職員の処遇改善の最低額を、(2)の職員の処遇改善の最高額が上回る「逆転現象」が起きる可能性も。審議会ではこの部分を懸念する意見も多かったが、審議報告では触れられていない。

 なお、「勤続10年以上」の定義は国で定めず、事業所の裁量に委ねる。

 そのため、同じ経験・技能の介護職員でも事業所によって(1)か(2)で判断が分かれ、処遇改善が全く異なるケースも出てくる。

 施行後、人材確保策として新加算の配分・活用方法が注目される。

Comments


bottom of page