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新処遇改善 加算率「同一サービスで段階設定」か

2018.12.13|シルバー産業新聞



処遇改善の新加算 要件の現行加算Ⅰ~Ⅲ


 厚生労働省は11月22日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)で、来年10月に予定している処遇改善の新加算創設について、算定要件や加算率の設定方法を検討した。算定要件については、現行の処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの取得を基本とする考え。サービスの種類ごとに設定する加算率については①サービス内で一律②2~3段階に分け一定の差を設ける③事業所別に設ける――の3案を示した。

  介護報酬では、介護職員の賃金改善に充てることを目的とした処遇改善加算(Ⅰ~Ⅴ)が既に運用されており、最も要件が厳しく、加算率の高い(Ⅰ)で月額3.7万円相当の賃金改善が見込まれる。昨年度時点で約90%の事業所が加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している。

 今回検討している新加算は、現行の処遇改善加算を維持しつつ、技能と経験に応じて介護人材の更なる処遇改善を行うことが目的。来年10月の消費税率引上げにあわせて、その税収分から1,000億円、同額の保険料分と合わせて2,000億円を投じて実施する予定となっている。

 前回の同分科会では、新加算について▽サービスごとに加算率を設ける▽「勤続10年以上の介護福祉士」など経験・技能のある介護職員への処遇を優先しつつ、他の介護職員や他職種にも事業所の判断で配分できるよう柔軟な運用を認める――ことが示されていた。

 この日はまず、新加算の対象となる事業所について、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保する観点から、現行の処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの取得を前提とする案を提示した。

 Ⅰ~Ⅲでキャリアパス要件が異なるため、一部の委員からは「最低でもⅡ以上」「Ⅰのみにすべき」との意見も上がったが、「介護療養施設のように加算Ⅰの取得率が低いサービスの場合、新加算の算定対象も限定的になってしまう」と同省は回答している。

 なお、処遇改善加算を設けていない訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、福祉用具貸与は新加算の対象外となる方向。

「きめ細かい評価」か「事務負担緩和」か

 加算率の設定方法に関しては、同一サービスで一律にした場合、経験・技能のある介護福祉士が多い事業所ほど、1人あたりの処遇改善が薄くなる可能性が、前回指摘されていた。

 これを受け同省は、手厚い職員配置等を一定程度評価できるよう、同一サービス内で2~3段階の加算率を設けるパターンを説明。要件等の具体案までは提示されなかったが、「例えば、サービス提供体制強化加算の取得有無で線引きするような方法であれば、事業所の申請・確認に係る負担も抑えられる」としている。

 サービス提供体制強化加算は、介護職員に占める介護福祉士の割合や、介護・看護職員の常勤職員割合、経験年数などをもとに、事業所の人員体制を評価するもの。居宅・施設・地域密着型各サービスに広く設定されている。

 さらに、同省が3つ目のパターンに挙げたのは、事業所ごとに加算率を設けるしくみ。職員配置をより個別に評価できる一方、職員数等が変わるたびに加算率もその都度変わるため、確認・申請の負担が大きくなるデメリットを伴う。同省も「介護報酬で行うため困難」と前置きしている。

 委員から多く支持を集めたのはパターン2の「サービス内で2~3段階」。要件の分け方が今後の議論になりそうだ。

 取得した加算の配分方法については前回、「一定のルールを設ける」としていたが、この日具体案は出されず。①「勤続10年以上の介護福祉士」等経験・技能のある介護職員②その他の介護職員③その他の職種――の順に、1人あたりの配分に傾斜をつけるといった点にとどまっている。

 「10年以上」が同一事業所や同一法人内でのものか、または業界内での経験年数かは定義しない見込み。マネジメント能力や介護技術といった、資格・年数だけでは見えにくい部分も含め、一定程度事業者の裁量で評価・配分するとした。

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